フランス政府が「Windowsからの脱却」を正式宣言した
2025年、フランス政府はデジタル主権(Souveraineté numérique)の強化を旗印に、政府機関のデスクトップ環境をWindowsからLinuxベースへと段階的に移行する計画を公式発表した。フランスのデジタル省(Direction interministérielle du numérique)が主導するこの取り組みは、単なるコスト削減策ではない。「欧州域外のテクノロジー企業への依存を断ち切る」という、地政学的・安全保障的な意思決定だ。
MicrosoftやGoogleといった米国テック企業のクラウドインフラに政府の機密情報を預け続けることへのリスク——データの管轄権問題、サービス停止リスク、ライセンス費用の一方的な値上げ——これらに対してフランスはついに「No」を突きつけた。
これは欧州の孤立した動きではない。ドイツのミュンヘン市は過去にLinux移行を試み(一度撤退したものの再び検討中)、イタリアやスペインの一部自治体もオープンソース化を進めている。西欧の「脱Windows・脱米国クラウド」の流れは、もはや思想実験ではなく政策の現実となっている。
日本はどこにいるのか——「依存」の深さを直視せよ
では、日本はこの文脈でどこに位置するのか。結論から言えば、日本はフランスより数段深く、米国テック企業に依存している。
- 中央省庁・自治体の多くはMicrosoft 365(旧Office 365)を基盤システムとして採用
- 政府共通プラットフォームはAWSやAzureを活用
- 学校教育現場ではGIGAスクール構想でChromebookとGoogleワークスペースが急拡大
コスト面でも深刻だ。マイクロソフトは2022〜2023年にかけてMicrosoft 365の企業向け価格を最大25%値上げした。円安が加速する構造的な為替リスクを加味すれば、日本の公共機関・民間企業が支払うライセンス料は実質的に毎年上昇し続けている。